100gを超えて、へその緒も落ちて、
少しだけ安心できたころ。
ノアは哺乳器で少しずつミルクを飲めるようになり、
体重も増えてきていました。
でも、その頃の私には、
また別の大きな心配がありました。
「うんちが出ない…」
3日目から8日目まで、
まったく出る気配がなく、
また私は記録ノートを持って動物病院へ向かいました。
待合室で名前を呼ばれるのを待ちながら、
私はまだ、この子に名前をつけることができませんでした。

ノアと私のプロフィールはこちらからどうぞ

100gを超えたのに、また新しい心配が始まった
哺乳器で少しずつ飲めるようになったノア

100gを超えて、へその緒も落ちて、
少しだけ安心できるようになったころ。
ノアは、哺乳器で少しずつミルクを飲めるようになってきました。
最初のころは、哺乳器の乳首を口元に持っていっても、
吸う力が弱く上手に飲めず、
結局シリンジで少しずつ飲ませていました。
でもこの頃になると、
哺乳器を口に入れると、
自分で「ちゅっ、ちゅっ」と吸うような動きが見られるようになってきたんです。
もちろん、
まだ途中で眠ってしまうこともありました。
それでも、
「自分で飲もうとしてる」
その小さな変化が、
私には本当に嬉しかったです。
ミルクの量も少しずつ増え、
1回に飲める量は3〜4mlほどに。
体重も増えてきて、
「このまま順調に育ってくれるかもしれない」
そんな希望を少しだけ持てるようになっていました。
でも、その頃の私には、
また別の大きな心配がありました。
でも、うんちがまったく出ない
1日目、2日目には出ていたうんちが、
3日目から、まったく出なくなってしまったのです。
病院でもらったお世話のプリントには、
「哺乳期の排便は数日に1回のこともあります」
と書かれていました。
でも私は、
「数日って、何日?」
と、不安でいっぱいでした。
おしっこは毎回ちゃんと出ています。
ミルクも飲めている。
体重も増えている。
でも、うんちだけが出ない。
ノアのお腹を見るたびに、
「苦しくないかな」
「お腹張ってないかな」
そんなことばかり考えていました。
そして気づけば、
3日、4日、5日……
まったく出る気配がありませんでした。
小さな命だからこそ、
少しの変化でも怖い。
私はまた記録ノートを持って、
動物病院へ向かうことにしました。
記録ノートを持って、また動物病院へ
体重は173gまで増えていた

うんちが出ないまま、
また動物病院へ向かう日が来ました。
この頃には、
ノアの体重は173gまで増えていました。
95gだったあの日を思うと、
数字だけ見れば、ちゃんと成長している。
でも私は、
安心するより先に、
「うんちが出ていない」
そのことばかり気になっていました。
病院へ行く時、
私はいつもの記録ノートを持っていきました。
ミルクの量、
飲んだ時間、
おしっこの回数、
当時の私は、
少しでもノアの異変を見逃したくなくて、
毎日必死に記録を続けていました。
診察室で獣医さんにノートを見せながら、
「うんちが全然出なくて……」
と説明すると、
獣医さんはノアの様子を見ながら、
静かに話を聞いてくれました。
「刺激する時間を長くしてみてください」
獣医さんによると、
うんちは、おしっこのように
少し刺激しただけでは出ないこともあるそうです。
「刺激する時間を少し長めにしてみてください」
そう教えてもらいました。
ただ、この時点で、
ノアはもう7日近くうんちが出ていない状態。
獣医さんも、
「さすがに一度出してあげましょうか」
という判断になり、
処置をしてもらうことになりました。
ノアが処置を受けている間、
私は待合室で待つことに。
その時間が、
とても長く感じました。
待合室で、名前をつけられない理由を考えていた
大丈夫と言ってほしかった
待合室でノアを待ちながら、
私は最初に動物病院へ行った日のことを思い出していました。
「この子、大丈夫ですよね?」
「育ちますよね?」
私は獣医さんに聞きました。
その時の私は、
「大丈夫ですよ」
そう言ってほしかったんだと思います。
でも獣医さんは、
はっきりと「大丈夫」とは言いませんでした。
もちろん、
冷たい言い方をされたわけではありません。
ただ、
生まれたばかりの小さな子猫が、
どれだけ危険な状態なのかを、
ちゃんと分かっていたんだと思います。
その時の私は、
「この子は死と隣り合わせなんだ」
ということを、
初めて本気で感じました。
だから私は、
ただ「かわいい」と思うより先に、
この小さな命を守ることだけを考えていました。
・3時間おきのミルク
・排泄のお世話
・ 記録ノート
今できることを、
ひとつずつ必死に続ける。
そんな毎日でした。
名前をつけるのが怖かった
この頃、
ノアにはまだ名前がありませんでした。
実は私は、
名前をつけることができなかったのです。
もちろん、
本当は考えてあげたかった。
元気に育ってほしいって、
願いたかった。
でも、
もし名前をつけて、
もしこの子がいなくなってしまったら。
その時、
私は耐えられない気がしていました。
だから私は、
どこかで自分自身を守ろうとしていたのかもしれません。
「育つかどうかわからない」
そう思っていたからこそ、
まだ名前を呼ぶことができませんでした。
待合室では、
大きなワンちゃんが静かに順番を待っていたり、
キャリーに入った猫ちゃんが飼い主さんの膝の上にいたり、
小さなワンちゃんが元気よく吠えていたり。
受付では、
診察を終えた人たちが会計をして帰っていきます。
テレビでは情報番組が流れていました。
私はその画面をぼんやり見ていましたが、
内容はまったく頭に入ってきませんでした。
ただ、
「ノア、大丈夫かな」
それだけを、
ずっと考えていました。
診察室で起きた“大量うんち事件”
こんな小さなお腹に、こんな量!?

※この画像はイメージです。
しばらく待っていると、
診察室のほうから私の名前が呼ばれました。
処置が終わったと聞いて、
私は急いで診察室へ向かいました。
そこには、
どこか少しスッキリしたように見えるノアがいました。
そして獣医さんが、
「こんな感じで出ましたよ」
と、実際に出たうんちを見せてくれました。
その瞬間、
私は本当に驚きました。
「えっ!?こんなに!?」
こんな小さなお腹に、
こんな量が入っていたの!?
そう思うくらい、
大量に出ていたのです。
しかも、
1日目や2日目に、
私がお世話の時に見ていた量の何倍もありました。
たぶん、
5倍くらいはあったと思います。
「そりゃ苦しかったよね……」
私は思わず、
そう声をかけていました。
処置後のノアは少しスッキリ顔
処置の時におしり周りが汚れたようで、
きれいにしてもらったのか、
ノアのおしりあたりの毛は少し濡れていました。
そんな姿を見ながら、
「頑張ったねぇ」
と声をかけたのを覚えています。
はじめての爪切りと、黒くなった前足
前足をなめるノア

そしてその時、
私はもうひとつ気になっていたことを思い出しました。
ノアの爪が、
いつの間にか少し伸びていたのです。
そこで獣医さんにお願いして、
小さな爪を切ってもらいました。
ノアにとって、
記念すべき“はじめての爪切り”です。
さらに、
気になっていた前足のことも相談しました。
ノアは自分の前足を口元に持っていくことが多く、
前足が少し黒っぽくなっていたのです。
まだ体が小さすぎて洗えなかった
獣医さんは、
「ノミやダニで痒いのかもしれませんね」
「まだ駆除剤が使えないから、拭いてあげてください」
そう教えてくれました。
私は、
「じゃあ、お風呂で洗ってあげた方がいいですか?」
と聞いたのですが、
獣医さんは、
「まだ小さいので、体が冷えてしまいます」
「もう少し大きくなってからにしましょう」
と話していました。
体重が増えて、
哺乳器でも少しずつ飲めるようになって、
へその緒も落ちた。
でも、
まだまだ本当に小さかったんです。
うんちが出たのに、体重はさらに増えていた
176.5gになっていた
病院で大量のうんちが出て、
私はかなり安心していました。
そしてその日の夕方、
いつものように体重を測ると――
176.5g
私は思わず、
「えっ!?増えてるやん!」
と声を出しました。
あんなに大量のうんちが出たのに、
体重はさらに3.5g増えていたんです。
「ちゃんと成長してるんだ」
95gだったノア。
一度は86.5gまで減って、
毎日毎日、
不安ばかり抱えていました。
でもこの頃になると、
少しずつ、
「成長してるんだ」
と思える瞬間が増えてきました。
もちろん、
まだ安心なんてできません。
それでも、
- 哺乳器で少し飲めるようになった
- 体重が増えた
- へその緒が落ちた
- うんちが出た
そんな小さな変化ひとつひとつが、
私にとっては大きな希望でした。
少しずつ、自分で出せるようになってきた
また病院で大量うんち
病院で大量のうんちが出たあと、
数日後には、
ほんの少しだけですが、
ノアが自分でうんちを出せるようになってきました。
「出てる!ちょっと出てる!」
それだけで、
私は嬉しくなっていました。
でもまだ安定はしていなくて、
結局また病院へ行き、
処置をしてもらうことになりました。
そして――
また大量うんち。
私はまた、
「こんなに溜め込んでたん!?」と2回目なので少しだけ、驚きました。
病院でうんちの処置をしてもらったのはこの2回だけでした。
成長とともに変わっていった
生後間もない子猫は、
まだ自分で上手に力むことができません。
刺激をしてもらいながら、
少しずつ「出す力」を覚えていく。
そのことを、
私はこの頃初めて知りました。
そんな毎日の中で、
ノアは少しずつ変わっていきました。
小さな目が開きはじめた日
最初は“あの芸人さん”みたいだった

ノアの目が少しだけ開き始めたのは、この頃でした。
でも私は嬉しくて、
何度も顔を覗き込んでいました。
ただ――
半分ほど開いた目を見た時、本来なら「かわいい!」とか「感動した!」という感想になるはずなのですが、私が最初に思ったのは違いました。
「えっ……間寛平さんやん。」
関西で育った私は、子どもの頃から吉本新喜劇を見ていました。
舞台でメイクをした間寛平さんの顔に、なぜかそっくりに見えたのです。
もちろんノアは真剣です。
でも私は思わず笑ってしまいました。
毎日、生きているか心配していた日々だったので、そんなふうに笑えたのは久しぶりだった気がします。
今思うと、この頃から少しだけ私にも心の余裕が出てきていたのかもしれません。
全部開いたらモンちっちみたいだった
さらに、
目が全部開いてきた頃には、
今度は子どもの頃に流行っていた
“モンちっち”みたいな顔に見えて、
また笑っていました。
あの頃は、
不安な毎日だったはずなのに、
こういう小さなことで笑える時間も少しずつ増えていった気がします。
哺乳器で10ml飲めるようになった
シリンジ卒業を目指して
最初のころのノアは、
哺乳器ではほとんど飲むことができませんでした。
哺乳器で作ったミルクを、
1mlのシリンジで少しずつ吸い上げて、
口元へ運ぶ。
途中で眠ってしまうノアを起こしながら、
「飲んで、お願い」
そう声をかけ続けていました。
でも、
そんなノアが少しずつ変わっていったんです。
哺乳器を口元に持っていくと、
「ちゅっ、ちゅっ」と、
自分で吸う力が強くなってきました。
最初は数回だけだったのに、
気づけば、
ちゃんと哺乳器で飲めるようになっていきました。
シリンジを使う回数も、
少しずつ減っていきました。
体重300g達成

ミルクを飲める量も、
どんどん増えていきました。
最初は3ml飲むだけでも大変だったのに、
この頃には、
1回に10mlほど飲めるようになっていました。
そしてわが家に来て17日目ついに、
ノアの体重は301.5gに。
95gで保護した頃を思うと、
本当に大きな変化でした。
この頃には、
私の気持ちにも少し余裕が出てきていました。
ちょうどその頃、
私はノアのために、
はじめて“買ってあげたもの”があります。
病院でもらったお世話プリントの備考欄に、
「歯ブラシで頭をこすると喜ぶ子が多い」
と書かれていたのが気になっていて、
ペットショップで探してみたんです。
そして見つけたのが、
ピンク色の小さなシリコンブラシでした。
ブラシ部分は、ほどよく柔らかく、
擦るとざらざらした感触で母猫の舌に似ていると思います。
実際、
ノアが喜んでいたのかは正直わかりません。
でも、
頭や体をなでると、
「もぞもぞっ」と動いていました。
今思えば、
少しずつ“育てる”だけじゃなく、
“かわいがる”気持ちも出てきた頃だったのかもしれません。
今では、1日2回の快便娘です
病院で大量うんちをしていたノア。
あの頃は、
「今日出るかな」
「お腹苦しくないかな」
そんなことばかり考えていました。
でも今では――
1日2回、
立派なうんちをします。

毎日2回ですけど?

95gしかなっかた子が、今では、5kgを超える立派な快便娘です。

褒めるところ、そこ?
もちろん、
今でも噛まれると痛いし、
塩対応されることもあります。
でも、
そんな毎日が嬉しいんです。
あの頃、
「生きてほしい」
そう願いながら抱いていた小さなノアが、
今も隣で元気に過ごしてくれている。
それだけで、
私は幸せなんだと思います。
次回予告(仮)
第4話
「はじめて『かわいい』と思った日」(仮)
ミルクも安定し、
よちよち歩きも始まった頃。
私はふと、
ある言葉を口にしていました。
そして先生から告げられたのは、
「そろそろ離乳食ですね。」
次の試練が始まります。

